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《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.5/2019.11.6)

《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.5/2019.11.6)

インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜ネット上の情報検証まとめ管理人)

(1)「卵のサイズに関わらず黄身の重さは同じ」

日付
10/26
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
3.1万RT
内容

「たまごが大きくても小さくても黄身の重さは、ほとんど変わりません。大きなサイズは白身の量が多いのです。」などと書かれた店舗の掲示物を写した写真の投稿。

引用
アカウント名等モザイク処理は筆者による(以下同様)
【検証】卵が大きいほど黄身も大きい

この説は以前からよく話題になっていたこともあり、複数の専門家の見解や研究結果をネット上でも見ることができる(下記の各リンク参照)。おおむね共通するのは、一般的に卵自体のサイズが大きいほど黄身のサイズ・重量も大きくなるという常識的な結論だ。

一方で白身に対する黄身の大きさの割合という観点から考えた場合、結論は必ずしも一様ではない。大きい卵は黄身の割合も大きいとする資料(参考リンク12a/2b)もあれば、ほぼ変わらない(参考)、あるいは一定以上から逆に小さくなる(参考)とする資料もある。ただいずれにしてもその差はわずかで、鶏の年齢による違いや、卵ごとのばらつきの影響も大きいようだ。


(2)「犯人を見分けて銃で撃つロボット」

日付
10/27
発信者

マーティン・ファクラー(ジャーナリスト)

媒体
Twitter
拡散数
1700RT
内容

人型のロボットが人質と犯人に見立てた人形を見分け、犯人に銃を撃つという内容の動画の投稿。

引用
【検証】CGによるパロディ映像

この動画は映像制作会社Corridorが作ったもので、全編はここで見られる。公開されている制作過程からも分かるように、ロボットはCGで作られたものだ。元動画では最後に人間に虐げられた人型ロボットがロボット犬を連れて逃走するというオチも付いていて、ジョークであることがより分かりやすい。

これは、精巧かつ独特な動きや実験のためにわざと蹴り飛ばされる様子が話題になったBoston Dynamics社のロボット動画のパロディで、画面右下には社名をもじった「Bosstown Dynamics」の文字が見られる。


(3)「洪水で大仏が流れてきた」

日付
11/1
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
11.4万RT
内容

洪水で道路が川のようになっている所に巨大な仏像が流れるという内容の動画の投稿。

引用
【検証】大仏はCG

これは「Captain Disillusion」というフェイク動画の検証等を行っているYouTubeチャンネルが作成した、CGによる合成映像だ(動画の4分頃からを参照)。

Captain Disillusionは2018年に拡散された「ヴェネツィアの洪水で流されるマリア像」の動画を検証し、それが「スペイン領カナリア諸島の洪水で流されるゴミ箱」を加工した合成映像であることを指摘した。「マリア像」の動画は平面的な画像素材をそのまま利用した単純なものだったため、もっと手を掛ければより精巧なフェイク動画だって作れると例示してみせたのがこの「大仏」の動画である。皮肉にもそれは場所を「インド」と変えられ新たなフェイクとして拡散されてしまったわけである。


(4)「溺れる犬をイルカが助けた」

日付
10/25
発信者

柴田淳(歌手)

媒体
Twitter
拡散数
1.3万RT
内容

 「陸のない運河に落ちて15時間も溺れていた犬を、イルカの大群が助けたそうです。助けただけでは陸の人間には気付かれず、大きな声まで出して。それに気づいた人がようやく消防隊に連絡して救助されたと。」などとして、海外ブログ記事を紹介した投稿。

引用
【検証】犬は溺れておらず、画像も無関係

この話は色々な部分で事実に誇張が加えられているようだ。犬は溺れていたのではなく浅瀬に立って身動きが取れなくなっていたこと、イルカが直接助けたわけではなくイルカが騒いでいるのに気付いた近所の人がレスキューに通報したこと、上掲の画像は助けられた犬とは無関係の映像からキャプチャされたものであることなどが指摘されている。

詳細は検証ブログ「ネットロアをめぐる冒険」を参照のこと。


(5)「富士山で滑落したが、無事生きてます」

日付
10/28
発信者
一般ユーザー
媒体
YouTube
拡散数
69万回再生
内容

「ニコ生で生放送中に富士山に滑落した○○です、無事生きてます」というタイトル(伏字筆者)で、ニコニコ生放送で富士登山のライブ配信中に滑落した人物を名乗って無事生還したとする動画。

引用
【検証】注目事件の当事者になりすまし炎上商法か

ITジャーナリストの篠原修司氏が指摘しているように、この動画の投稿者は過去に何度も話題のニュースの当事者を名乗る動画を投稿していて、信憑性は極めて低い。動画投稿の後には、滑落した本人と見られる遺体が発見されている

なお、10月31日の首里城火災の際には放火犯を名乗る動画を投稿した人物が非難を浴びたが、この人物も同じように富士山滑落の本人を名乗る動画を投稿している(上記の投稿者とは別人)。いずれも話題の出来事にかこつけて再生数を稼ぐ、いわゆる「炎上商法」を狙った動画であろう。

(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2019年11月13日の予定です)

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