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[FactCheck] 立花氏主張「NHKの人件費は年々増額」は不正確 〜検証・参院埼玉補選

[FactCheck] 立花氏主張「NHKの人件費は年々増額」は不正確 〜検証・参院埼玉補選

議員の辞職に伴う参議院埼玉選挙区の補欠選挙(10月10日告示、27日投開票)で、元埼玉県知事の上田清司氏とNHKから国民を守る党党首の立花孝志氏が立候補している。選挙公報の主張をファクトチェックしたところ、両候補とも一部に正確さを欠く主張があった。ここでは、立花氏が「NHKの人件費が年々増加した」とする主張を検証する。同時に上田氏の発言も検証したので、他の2本の記事もあわせて参照していただきたい。(田島輔)

チェック対象
この大幅な受信料値上げと衛星受信料を原資として、NHK職員の給与はドンドン増えていきました。・・・(平成14年以降)NHK職員の人件費は年々増額され続け、今では約1万人のNHK職員に対して、年間で1754億円(NHK職員一人平均1750万円)の人件費が使われています。(立花孝志候補の選挙公報)
結論
【不正確】NHK職員が約1万人で人件費が年間約1700億円(2017年)であるのは事実だが、職員数の減少に伴い人件費総額は年々減少しており、職員一人平均の人件費も増減があり、必ずしも年々増加しているわけではない。

検証

まず前提として確認しておきたいことがある。「人件費」は、純粋な「給与」だけではない。「人件費」には、「給与」以外に、役員退任手当や職員の退職給付費用を含む「退職手当」、社会保険料の事業主負担を分及び職員の福利厚生に要する経費である「厚生保険費」が含まれる。

NHK職員の人件費を決算書から算定したところ、以下のグラフ・表のとおり、2003(平成15)年以降の2052億9826万円から2018(平成30)年の1599億434万円と大幅に減少していることがわかった(日本放送協会決算書参照。平成16年度決算書平成30年度決算書)。

平成15年度から平成30年度の日本放送協会決算書より「給与」「退職手当」「公正保険費」を合計した。グラフは筆者作成
NHK決算書より筆者作成

NHK職員の人件費が減少している主な理由は、NHK職員数自体の減少にある。1979(昭和54)年の1万6920人から2016(平成28)年には1万273人と6500人以上減少している(放送を巡る諸課題に関する検討会ヒアリングご説明資料「NHK従業員数の推移等」参照)。

一人あたりの人件費・給与でみても「年々増額」とはなっていない

NHK職員一人当たりの人件費も、「年々増額され続けている」と断言することはできない。NHK職員数が判明している年について職員一人当たりの人件費、一人あたりの給与を計算したところ、以下の表のとおり、減少している年もあった。「年々増額され続けている」とは言えない。

(筆者作成)

ニュースのタネ編集部は23日、立花孝志候補に「NHK職員の人件費が年々増加している」との主張は事実と異なるのではないかと指摘して見解を求めたが、24日までに回答はなかった(回答があり次第、追記する)。

結論

2017年度は約1752億円の人件費が発生し、NHK職員数も約1万人程度、一人平均約1701万円であることから、「今では約1万人のNHK職員に対して、年間で1754億円(NHK職員一人平均1750万円)の人件費が使われています」と発言した部分はほぼ正確といってよい。

しかし、NHK職員の人件費総額は減少傾向にあり、一人当たりの人件費も増減があることから、「NHK職員の人件費は年々増額され続け」たとの立花氏の主張は「不正確」と判定した。

(この記事は、ファクトチェック基本方針レーティング基準に基づいて作成しました)

田島輔、冒頭の写真は宮原ジェフリー、10月10日撮影)

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