インファクト

調査報道とファクトチェックで新しいジャーナリズムを創造します

福島第一原発事故で新事実 事故直後の首都圏で高レベルの放射線量が計測されていた 

アメリカ軍横田基地(東京都)
アメリカ軍横田基地(東京都)

アメリカ政府は、3月16日に、日本在住のアメリカ国民に対して首都圏を含む福島第一原発から半径80キロの範囲からの退避を勧告している。これについて日本政府は当時、アメリカ政府の判断の根拠に疑問を呈している。しかし、こうした極めて高い数値がアメリカ政府の判断に影響を与えていた可能性が浮上した形だ。

山崎氏は、「この数値には様々な放射性核種による放射線が含まれている。セシウム以外にも、ヨウ素なども含まれている点が気になる」と話す。

山崎秀夫氏
山崎秀夫氏

放射性ヨウ素は、子どもの甲状腺がんの原因となる。現在、福島県内では継続して調査が行われているが、このアメリカ政府のデータから考えると、同じ状況が首都圏でも起きていると考えられる。首都圏の子供は検査をしなくて良いとは考えにくい。

アメリカ大使館
アメリカ大使館

このデータの存在について日本政府は知っていたのだろうか?アメリカ政府との窓口となる外務省に問い合わせたところ「当時米国政府より日本側に本件情報の提供があった由です」としてデータが日本側に伝えられていたことを認めた。しかし、「どのようなルートで提供がありどのような取り扱いがされたかについては,現時点では,外務省では確認できない」という。

日本政府は、事故直後の東京で高い放射線量が計測されていたことを知っていたということになる。では、それはどう活かされたのだろうか。まだ取材は続ける必要がある。

外務省
外務省

一方で、気になるのは、今の首都圏の状況だ。これについては注意が必要なのは、上記のアメリカ政府の計測は空間線量であり、一時的なものであった可能性が高い。アメリカ政府は現在、横田基地で活動を行っており、それを考えると、そこに放射性物質がとどまって引き続き高い線量が計測されているとは考えられない。

【参考記事 大阪で原発燃料が作られてるって知ってました?◇手作業の燃料棒組立に驚く  「暇です。再稼働してほしい」と案内の社員 】

InFactは引き続き、調査を行いたいと考えている。なお、データは整理した後に、全て公開することにしている。

Return Top