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ファクトチェック「玉城候補が一括交付金創設を直談判」は事実か

【事実・証拠】

玉城氏がいう「一括交付金」は、「沖縄の実情に即してより的確かつ効果的に施策を展開するため、沖縄振興に資する事業を県が自主的な選択に基づいて実施できる一括交付金」(内閣府HP)で、「沖縄振興一括交付金」とも呼ばれる。

民主党の野田佳彦内閣が2011年12月24日、2012(平成24)年度予算案の閣議決定で「一括交付金」創設の方針を決めた。法改正案は2012年2月10日に閣議決定され、衆議院の修正を経て、同年3月30日に参議院で可決、成立した。

この新制度により、一括交付金の使い道を決める「沖縄振興計画」の策定主体は、それまでの国(政府)から沖縄県に変更された。立法経緯の詳細は、参議院事務局が出しているレポート「沖縄復帰40年・沖縄振興は新時代へ」(松本英樹、『立法と調査』2012年8月1日号)にまとまっている。

(1)一括交付金の「創設」を「直談判」していたか

玉城氏は、政府与党(当時、民主党)に「一括交付金」制度の「創設」を「直談判した」と主張しているので、そのような事実があるのか、調べた結果、以下の事実がわかった。

① 玉城氏は国会で沖縄振興一括交付金の創設を要請していた

玉城氏は、2011年6月1日、衆議院の沖縄及び北方問題に関する特別委員会で、沖縄県から使途の自由度のある一括交付金の要望が出ていることについて政府に質問し、枝野幸男官房長官(当時)から「できるだけ前向きにと考えている」との答弁を引き出していた。その上で、「一括交付金制度の創設、まさに、沖縄のポテンシャルをこの日本という国のために存分に生かしていただきたい、また生かさせていただきたいという思いがこもっていることですので、重ねてお願いをしておきたいと思います」と念を押していた。

ちなみに、この委員会では、公明党の遠山清彦議員も出席し、「先ほど玉城デニー議員も、私がこれから聞くことと大分同じ質疑をされていたんですが、一括交付金というのを沖縄県知事を先頭に求めているわけでございます」と玉城氏の発言に言及しつつ、同制度の創設を求めていた。

② 玉城氏は首相官邸で沖縄振興一括交付金の創設を提言していた

玉城氏は、2011年7月8日、民主党沖縄協議会のメンバーとして沖縄振興一括交付金の創設を提言していた。旧民主党アーカイブサイトには、首相官邸で枝野幸男官房長官(当時)に提言を手渡しているシーンの写真が掲載されており、玉城氏も中に入っていた。

旧民主党アーカイブサイト「沖縄振興一括交付金(仮称)の創設を政府に提言」より。岡田克也幹事長の隣に玉城氏の姿がある
旧民主党アーカイブサイト「沖縄振興一括交付金(仮称)の創設を政府に提言」より。岡田克也幹事長の隣に玉城氏の姿がある

③ その他

この件について玉城氏の選挙事務所に問い合わせたところ、玉城氏は「一括交付金は、平成23年12月末に閣議決定された平成24年度政府予算案で創設の方針が決まったもの」との認識を示し、「政権与党だった民主党の沖縄政策プロジェクトチームの一員として、政務三役らに直接働きかけるなど、その実現に取り組みました」とメールで回答した。

また、民主党政権下で一括交付金を担当する総理補佐官を務めた逢坂誠二衆議院議員は、「玉城デニーさんからも繰り返し要望を受けた」と証言している。具体的な時期は明らかでないが、逢坂氏は2009年末から2010年9月まで総理補佐官を務めており、この時期のことと推測される。

 

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