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「『政治と金』のネット公開、各地で進む。ネット公開していない自治体は9道県に減少」

「『政治と金』のネット公開、各地で進む。ネット公開していない自治体は9道県に減少」

最近では、 細野豪志衆議院議員の借入金の問題などで話題となった政治と金。国会議員の政治資金については(細野議員は借入金は政治資金ではないとしている)政治資金収支報告書に記載することが義務付けられている。その政治資金収支報告書について、各地の選挙管理委員会でネット公開に踏み切るところが増えている。 公益財団法人「政治資金センター」が調査したところ、38の都府県で既にネット公開を行っているか、今年中にネット公開を行うとしており、現在実施しておらず今後も実施の計画が無い自治体は9つの道県だったことがわかった。

衆参両院の国会議員が資金管理団体などで集めた寄付やパーティー券収入といった資金の詳細については政治資金収支報告書に記載して、総務省や各地の選挙管理委員会に届け出ることが義務付けられている。そして、選挙管理委員会は政治資金収支報告書を過去3年分について一般に公開することになっている。

こうした中、総務省をはじめ、各地の選挙管理委員会では、ネット上で公開することで利用者の利便性を高める取り組みが行われている。「政治資金センター」が調べたところ、その数は36都府県にのぼった。

また、山梨県と高知県の2県は、現在はネット公開を行っていないものの、今年中にネット公開を行う方向で現在、準備を進めているとしている。

一方で、北海道、新潟県、石川県、福井県、兵庫県、広島県、山口県、愛媛県、福岡県の9つの自治体では、ネットでの公開はしておらず、今後もネットで公開する計画は無いとしている。ネットでの公開を行わない理由については、全ての自治体が、「ネット公開のための作業量とそれにかかる人件費に対応できない」と答えた。

このうち北海道の選挙管理員会の担当者は、「北海道は政治団体だけで3500もあり、収支報告書も枚数で3万枚にのぼる。これをデジタル化する作業にどのくらいの手間と費用がかかるのか、もう少し検討だと考えている。また、ネット公開をするとなれば、サーバーの容量も増やさないといけない。検討はしているが、なかなか答えが出ない」と話している。

これについて「 政治資金センター」で共同代表を務める阪口徳雄弁護士は次の様に話している。

「数年前に調査した時はネット公開している自治体は24しかなかった。全体的な流れとしてはネット公開を行う自治体が増えてきており、評価したい。政治と金の透明性というのは単に選挙管理委員会で公表されているというだけでは担保されない。我々有権者が容易にチェックできる状況がなければならない。そのためには、残る9つの自治体も努力してネット公開に踏み切って欲しい」

[政治資金センター]は、7月7日に早稲田大学(東京都新宿区戸塚町一丁目104番地)で「政治とカネをどうチェックするのか」というセミナーを開催することにしている。セミナーでは、ジャーナリスト、弁護士の他、元国会議員や元地検特捜部検事らが自身の経験をもとに政治と金について議論する。阪口共同代表は、「ジャーナリストは勿論、一般の市民の方にも来て頂き、どうやってチェックするのか一緒に考えて頂きたい」と話している。

 

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