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拡散される「森友問題スクープ記者を“左遷” NHK「官邸忖度人事」の衝撃」は本当か?

拡散される「森友問題スクープ記者を“左遷” NHK「官邸忖度人事」の衝撃」は本当か?

「森友問題スクープ記者を“左遷” NHK「官邸忖度人事」の衝撃」と題した新聞記事が波紋を広げている。この記事は正しいのだろうか?これは5月17日付の日刊ゲンダイが報じたもので、元NHK記者である私のところにも問い合わせが来るが、正直言うと私はこの記事には違和感を覚えている。その違和感とは何か?

先ず断っておくが、私はNHKに問題が無いとは思っていない。特に、NHK政治部の報道に、政権にすり寄るような内容が見られることに心を痛めている人間の1人だ。では、この記事の何に違和感を覚えるのか?この記事が事実に基づいた内容とは思えないという点だ。

先ず、報じられた記事を見てみたい。記事は以下の様になっている。

「皆様のNHK」どころか、これでは“安倍様のNHK”だ。森友学園問題に関するスクープを連発していたNHK大阪放送局の記者が突如“左遷”されるというのだ。安倍政権の急所である森友問題を報道させないための“忖度人事”ではと、NHK内部に衝撃が走っている。

森友問題を最初に指摘した木村真豊中市議が15日、フェイスブックに〈大阪NHKの担当記者さんが、近く記者職から外されるということです!〉〈NHKが「忖度」したということなのか〉と投稿し、物議を醸している。

これを受け、日刊ゲンダイが調べたところ、木村氏が言及したA記者は現在、大阪放送局の報道部の副部長だが、来月8日付で記者職を離れ、番組チェックなどを行う「考査室」へ異動する内々示が出されたという。

「考査室は、定年間際の社員が行くような部署で、悪くいえば“窓際”。A記者は昨年、森友問題が発覚した後、いち早く籠池前理事長のインタビューを行い『籠池に最も近い記者』とメディア関係者の間で一目置かれていました。今年4月4日の『財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い』をスクープしたのもA記者。文書改ざん問題など、検察の捜査が進んでいて、真相究明はまさにこれからというタイミングだけに、A記者も上層部に記者職を継続したいと伝えていた。なのに“考査室”ですからね」(NHK関係者)

スクープ記者がいなくなれば、安倍首相を追い詰めるような森友問題の報道はNHKからガタ減りするだろう。やはり“忖度人事”なのか。

A記者に話を聞こうとしたが、「私の立場ではお答えすることはできません」と口をつぐんだ。NHKに問い合わせると、「職員の人事に関して、原則、お答えすることはありません」(広報局)と返答した。

前出の木村市議はこう言う。

「スクープ記者を外すようではNHKは終わりです。視聴者を見て番組を作っているとはいえず、今後、受信料を払いたくないという国民も出てくるのではないでしょうか」

NHKの森友報道をめぐっては、先日、共産党議員の国会事務所に〈森友報道をトップニュースで伝えるな〉と、上層部が部下に指示したとのNHK内部からとみられるタレコミもあった。いったい誰のための公共放送なのか。

先ず疑問に思うのは、「NHK内部に衝撃が走っている」と書いているが、記事の中にはNHK内部で衝撃が走っているという具体的な事実の記述がないことだ。

唯一「NHK関係者」という極めて不明瞭な情報源が出てくるが、NHK内部の「衝撃」については一言も語っていない。私はこのNHK関係者というのが、どれだけこのA記者が所属するNHK大阪放送局の内情に精通しているのかに疑問に思う。Yahoo個人ニュースで何度も書いているが、「@@関係者」という不明確な情報源に頼った記事は先ず疑ってかかった方が良い。それは、NHK内部の人間が「社員」という言葉を使わないなどという政府高官の言い訳のようなことを言っているわけではない。

説明しよう。先ず、この記事を読んだ人は、この記者を40代或いは30代の中堅記者だと思うだろう。「定年間際の社員が行く」部署に異動させられたのがおかしいというのが記事の肝だからだ。

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