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側近の辞職でトランプ大統領が犯人捜しを指示~トランプの米国とどう向き合うか? (30)

例えば、5年前に、ワシントンDC近郊にプリンス・ジョージ郡という自治体の長が収賄で逮捕された事件。裁判所に提出されたFBIの捜査記録に次のような内容がある。

「あなた、FBIよ」
「なに?」
「FBIが来ているわよ」
「捨てろ」
「何?」
「小切手だ」
「わかったわ」

シャー(トイレを流す音)

これはFBI捜査官が家宅捜索に来た時の盗聴記録だ。妻が郡長に指示されて収賄の証拠である小切手をトイレに捨てた場面。その細かいやり取りが活字になっている。こう言っては何だが、市長の収賄を立件する程度の事件でも盗聴は使われている。

盗聴についてはその事実を連邦議会の情報委員会に報告することになっている。しかし透明性が確保されているかというと定かでなく、盗聴について市民の側から監視している人権団体「ACLU」も、全てを把握できているとは思わないと話している。

このため、ロシア大使の会話が盗聴されていたということについて批判の声は聴かれない。逆に、14日朝のNBCテレビのニュース番組では、キャスターが、「情報機関にいたにも関わらず、ロシア大使の電話が盗聴されているとも知らないなんて、そんな人間を安全保障担当補佐官に任命したのか?」とトランプ大統領のアドバイザーであるキャリー・コーンウェイ氏を追及している。

参考記事:情報機関はトランプ氏に何を語ったのか 

●9人もの人間が自分に敵対

表向き一言も発していないトランプ大統領だが、これが大きな痛手でることは間違いない。しかし、その痛手は側近を失ったことよりも、情報機関がマスコミの取材に協力したことにあると見られている。


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