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トランプの米国とどう向き合うか? (7)~米トランプ次期大統領が会見で狙ったものは

●プーチンへの牽制

そしてもう一つの対象は、ロシア政府及びプーチン大統領だろう。トランプ氏は次の様に語った。

「プーチンがトランプを好きだとして、それは何だ?それは『資産』であって『負債』ではない」。

その上で次のように話している。

「プーチンとはうまくやりたいが、やれないかもしれない。やれない可能性は大きい。もしうまくやれない場合、ヒラリーと比べてどっちが彼に厳しい対応をとれるか、ここにいる誰でもわかるだろう。冗談もいいかげんにしてくれ」

つまり、自分はロシアに甘い顔をするものでないと表明したわけだ。冗談めかして語っているが、これはプーチン大統領とロシア政府を牽制するものだろう。

会見でもトランプ氏は、ロシアの協力を得ながら特に混乱の極みにある中東政策にあたるとの従来からの主張は維持している。トランプ氏は、今後、オバマ政権が科したロシアへの制裁を解除する方向に動くだろう。その上で、イスラム国(IS)への対応でロシアと共同歩調をとる可能性が高い。

その際に障害となるであろうスキャンダラスな問題に区切りをつけ、一方で、ロシア政府に対して甘く見るなとくぎを刺したという事だろう。

では、その狙いは達せられたのか。トランプ政権が一定の距離感を持った関係を維持すればという前提はつくが、ロシア政府と従来にない緊密さを演出しても政権が混乱することはないのではないか。もっとも、そこには新たな疑惑が出てこなければというもう一つの前提はつく。

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