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「留学生」という名の奴隷労働者たち3     ベトナム人を食い物にする専門学校と大学 出井康博

留学生として出稼ぎを続けたい外国人たちはビザが要る。そこに目を付けたのが少子化で定員割れに悩む専門学校、大学だ。中には学生の9割が留学生という大学も。急増するベトナム人留学生たちは高い学費を稼ぐために、また過酷な労働を続けなければならない。「受け皿」として復活しつつあるのが地方大学の都心の校舎「サテライトキャンパス」だ。出井康博の取材報告の三回目。(アイ・アジア編集部)

タン君の通っていた宇都宮市の日本語学校
タン君の通っていた宇都宮市の日本語学校(撮影:出井康博)

◆日本語学校が系列専門学校を紹介

ブローカーの甘い言葉に騙され、出稼ぎ目的で日本に「留学」し、来日後は日本語学校や人手不足の企業に都合よく利用されるベトナム人留学生たち――。

彼らが日本語学校に在籍できるのは最長2年までだ。2年間では「週28時間以内」という法律に違反して長時間働いても、母国に残した借金は返済できない。彼らの多くは150万円前後もの留学費用を借金して来日している。そんな彼らを待ち受けているのが、少子化によって日本人の学生を確保できなくなった専門学校や大学である。

ベトナム北部ハイフォン出身のタン君(24歳)は、栃木県宇都宮市の専門学校に通う留学生だ。3年前に来日し、日本語学校に2年間通った後、専門学校に入学した。

留学生が専門学校に入る際には、日本語能力試験「N2」合格が条件とされている。N2はテレビのニュースが聞き取れ、新聞などの記事も理解できるレベルだ。しかしタン君はN2はおろか、その下のレベルの「N3」にも合格していない。来日以降、学業そっちのけでアルバイトに励んできたからだ。彼は出稼ぎを目的に来日した“偽装留学生”なのである。

「まだ借金が100万円近く残っています。専門学校に年100万円近い学費を払うのは大変です。早く日本で就職して働きたい」

タン君が通う専門学校は、以前学んでいた日本語学校の近隣にある。日本語学校が確保した留学生を専門学校が引き継ぎ、さらに学費をむしり取るのだ。この日本語学校は最近、自ら専門学校も設立した。タン君も自らが食い物になっていることはわかっている。

「全く勉強しなくても、学費さえ払えば退学にはなりません。日本語学校も専門学校もひどいとは思いますが、日本で働くビザを得るためには仕方ない」

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