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<「エグザイル」公演の落雷死亡事故> 会場管理団体が「「雷聞こえたら逃げて」の看板設置か 被害者母驚愕、「どこに逃げろというの?」

「雷の音が聞こえたら逃げてください」
「雷の光が見えたら逃げてください」
「木の下は危険です」
「すぐに近くにある建物の中に逃げてください」

これを見て、驚愕したのは被害者の母親の岩永和子さんだ。

「この看板が役に立つとは思えない。あの落雷の中、看板を見ても全員が避難できる場所がないので仕方がなく木の下にいたと思う。全員が逃げられる避難場所を確保し、そこに誘導する放送が公園内にいる全員に届くスピーカーをつけてほしい。こんな悲しみは私の家族だけで十分。何よりも命が大事なので、そのための最善の策を講じてほしい。」

前回の記事で取材に応じてくれた、事故当時に現場にいた48歳の男性は次のように補足した。

「牧子さんが死亡した場所の近くにトイレがあるんですが、そこはもう満杯で人が入れない状態でした。だから私は濡れて帰ったんです。私はジョギング姿だったし、近くに住んでいますからそれが可能だったわけで、遠くからコンサートを見に来た人は、トイレには入れなきゃ木の下で雨をしのぐしかないでしょう。こんな看板を立てるなら、雨宿りができる建物を作ればいいんです」

この看板についての長居パークセンターの説明は要領を得ないものだった。

和子さんの話では、看板はアイ・アジアの報道後に立てられたものだという。定期的に事故現場を訪れている和子さんは、報道前に看板を見ていないからだ。これについて長居パークセンターにアイ・アジアが電話で問い合わせると、当初は、「看板は設置していない」と答えた。

「では、看板は誰が設置したのか?」
「それは知りません」

次に現地で再確認をして尋ねると次のように答えた。

「これは昨年の春から夏にかけての時期に設置したものです」

この説明も極めて不明瞭なものだが、要はアイ・アジアの報道後に慌てて設置したものではないと主張したいのだろう。
これについても前出の48才の男性は次のように話す。

「私は定期的に長居公園でジョギングをしていますし、その際には常に事故現場で手を合わせています。この看板は直ぐに目に入りますよ。去年の春から夏にかけて設置?それは嘘ですよ」

いずれにせよ、この悲劇を繰り返さないために公園の管理者が行うことは、立て看板を立てることだけだとは思えない。

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