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「籾井下ろし」発覚? NHK内で語られている最高幹部の混乱と暗闘

NHKの社内報「ネットワーク」
NHKの社内報「ネットワーク」

NHKの発表では、板野総局長はこの春の人事異動で退職している。当然、それは円満退職ということになっている。しかし、NHK内部ではそうは語られておらず、籾井勝人会長との間で意見の対立があったための事実上の更迭人事だったと受けとめられている。それがこの社内報で顕在化したことにNHK職員の多くが驚いているのだ。NHKの編成局員が語る。
「この春の番組編成は全て板野さんの指示で行われたわけです。大きいのはクローズアップ現代の改変で、国谷裕子さんを辞めさせて局アナを採用するというもの。これも板野さんの意向を受けて編成局主導で進められました。そうしたすべてを仕切った板野さんが急に辞めたわけですから、これは異常な人事だと内部ではささやかれていました。でも、実際に社内報にこういう形で出ると、やっぱりそうだったんだと、皆思いますよね」

◆新会館建設用地購入巡り籾井会長と対立で辞職の情報
多くのNHKの職員に取材して浮かび上がるのは、板野総局長が辞任に追い込まれたという事実だ。その経緯を報道局の経済部記者に語ってもらった。因みに経済部とは、政治部と並んで安倍政権と最も深い関係にあり、籾井体制を支えるNHKの「要職」である。
「NHKの新会館建設用地をめぐる問題だと言われています。これは2020年のオリンピックに向けて、新たな土地に最新の設備をもった会館に建て替えるというものですが、問題になっているのが建設用地で、みずほ銀行が持っている土地を市場価格より高値で購入することになっています。その取引はコンプライアンス違反の疑いがあると指摘したところ、籾井会長の逆鱗にふれた、というのが内部でささやかれている話です」
公共放送であるNHKは言うまでもなく事実上の税金とも言える受信料で成り立っている。そのNHKが実勢価格より高い値段で銀行から土地を購入するということであれば、その不透明な取引は早晩、問題になるだろう。さらに、それを指摘した幹部が会長から首を切られたということであれば、それは円満退社とは言えない。
だだ…と、この経済部記者は続けた。
「安倍政権に近い板野さんが籾井会長を支えてきたのは周知の事実で、この問題の土地の取得をめぐっても、最も活発に動いていたのは他ならぬ板野さんだとも言われています。だから、実は事実は少し違うのではないかとも言われています」
少し違うとは何か?NHKの関西方面にある放送局の幹部は、次のように話している。

NHK局内を驚かせた社内報の板野総局長インタビュー記事
NHK局内を驚かせた社内報の板野総局長インタビュー記事

◆安倍政権に籾井更迭の動きか
「国民が呆れるような発言を平気で連発し、国会からも批判の強い籾井会長を更迭させるという話が、実は安倍政権と板野さんとの間でできていたという話があります。次の会長候補の名前も出ていました。その人物がナベツネ(読売新聞・渡辺恒雄元会長)と安倍さんと三人で会っていたという話もある。だから土地問題は板野さんからすれば、籾井会長退陣の矢だったのでしょう。ところが、それは籾井会長の側に漏れていた。そこで、籾井会長が逆襲に出た…そう考えるのが普通でしょう」
いずれにせよ、政権と癒着した幹部の中で刺し合いが続くNHKがまっとうなわけがない。社内報に見えるNHKの混迷は、この公共放送の存続の是非を真剣に考えるべき時が来ていることを教えてくれているのかもしれない。

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