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沖縄県民大会で語られた翁長知事の注目発言 「ウチナーンチュ、ウシェーティライビランドー」(沖縄の人をなめてはいけませんよ)

沖縄県民大会の様子(セルラースタジアムにて 撮影:アイ・アジア)
沖縄県民大会の様子(セルラースタジアムにて 撮影:アイ・アジア)

「ターゲットはアメリカの政府であり議会であり世論です。我々は反米でもなければ、まして日米安保に反対するような左翼ではありませんよ。そうではなく、辺野古基地の建設は米国人が最も大事にする自由、人権、民主主義に反することなんですよ…そういうメッセージを込めたものです」
そしてこの言葉は、紛れも無く翁長知事の本音なのだという。
「もちろん、これは借り物ではありません。保守政治家として歩んできた翁長雄志という沖縄の政治家の本音でしょう。だから、日本政府が裏で言っているような、知事は日本の安全保障を揺るがす親中国派の左翼政治家なんていうレッテルはまったくのお門違いなんです」
翁長知事は挨拶の最後に、安倍総理へエールまで送っている。
「どうか日本の国が『独立は神話だ』と言われないように、安倍首相、頑張ってください」

この「独立は神話だ」とは、本土復帰前に沖縄に君臨したポール・キャラウェイ米高等弁務官が「沖縄の自治は神話だ」と語ったことをもじったものだろう。そして、次のように語って話を終えた。
「ウチナーンチュ、ウシェーティライビランドー」
「沖縄の人をなめてはいけませんよ」という意味の沖縄の方言で、極めて丁寧だが強い意志をあらわした言い方なのだと言う。
そして再び、スタジアムは歓声につつまれ、座っているだけで倒れそうになる暑さの中、多くの人が立ちあがって賛同を示した。
この日の参加者は主催者発表で3万5000人。しかし、実はこの数字は正しくはないのだという。前述の県庁の幹部が明かした。
「予想を上回る参加者があり、当初は予定していなかった外野席に人を入れることにしました。それでも入りきらない状況でした。大声では言えませんが、消防法上、3万5000人がぎりぎり発表できる数字だったんです」

沖縄県民大会の様子(2015年5月17日・撮影:アイ・アジア)
沖縄県民大会の様子(2015年5月17日・撮影:アイ・アジア)

外野席は演壇の後で、そこからは壇上の翁長知事らの姿は見えない。それでも、その外野席も埋め尽くされていた。つまり、主催者発表が実数を下回っていたのだという。
これだけの盛り上がりを見せた大会だが、当然、自民党関係者は姿を見せていない。大会が開かれた日の夜、自民党沖縄県連の幹部に話を聞いた。
「行くわけないさぁ、なんで行かなきゃならんの?あんな共産党が仕切ったような集まりに」
苦虫を噛み潰したようような表情で語った幹部は、かつては翁長知事とともに自民党沖縄県連を支えてきた人物だ。今も翁長知事を下の名前で呼ぶ。

2015年5月17日沖縄県民大会の様子(撮影:アイ・アジア)
2015年5月17日沖縄県民大会の様子(撮影:アイ・アジア)

「タケシは、もう行くところまで行くんだろう。しかし、アメリカを動かすって、そんなことできんさぁ。国と国が約束したことだ。簡単にくつがえらんさぁ。それはタケシだってわかっているんじゃないか。だって、何をしたって、辺野古埋め立ての工事は止められないのに」
工事が止まることはないのだろうか?本格的な埋め立て工事を行うには、現場に隣接する米軍基地キャンプ・シュワブに工事用の機材を搬入する必要がある。そのゲート前には反対する人々がテントをはって工事阻止を訴えている。
幹部はポツリと言った。
「…仮に知事自らが身体をはって機材の搬入を阻止するとなれば、工事は止めざるを得なくなるかもしれない。…タケシはそこまでやるなかぁ…」
そしてこう言った。
「参議院選挙も厳しくなるなぁ…」

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