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現地報告:中国共産党腐敗官僚の実態③  宮崎紀秀

●委員会は「調査中」と回答
王副室長は妻がいることを隠し、孫さんとの結婚を約束。関係を持ち続けた。しかし子供が生まれしばらくすると、態度を一変させ、子供を認知しないばかりか、殺すなどを脅してきたこともあるという。取材当時11か月になっていた幼児は戸籍を得ることができていなかった。

孫さんは黒竜江省紀律検査委員会に訴えた
孫さんは黒竜江省紀律検査委員会に訴えた

孫さんは、王副室長とのこれまでの関係と、脅迫を受けていることを、省の紀律検査委員会に訴えた。私の取材に対し、紀律検査委員会は「4月に資料を受け取って、現在調査中」と回答したが、処分などはまだ出されていない。
大きな瞳に涙をいっぱいにため、孫さんはこう訴えた。
「私と娘の安全を、将来にわたって保障して欲しい。彼が他の女性にも被害を与えていないか、党と国家のためにも調べて欲しい。あんなに酷い紀律違反をしたにもかかわらず、制裁を受けていないのはなぜなのか教えてほしい」
中国人民大学・危機管理研究センターによる「官僚イメージの危機2012年」と題するレポートには、腐敗を摘発された役人の95パーセントに愛人がいた、との統計が出ている。
地位と権力をほしいままにし、我が物顔にふるまう中国の官僚たち。そのあまりに醜悪な実態が相次いで露呈する中、共産党への信頼はかつてないほど揺らいでいる。

「自分と娘の安全を保証して欲しい」と涙ながらに訴える孫さん
「自分と娘の安全を保証して欲しい」と涙ながらに訴える孫さん

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<<執筆者プロフィール>>

宮崎紀秀(norimiyazaki@outlook.com)
1970年生まれ。元日本テレビ記者。警視庁クラブ、調査報道班などを経て中国総局長。中国滞在は約8年。北京在住。

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