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現地報告:中国共産党腐敗官僚の実態③  宮崎紀秀

鄭書記は、仕事上の関係から元々妻の父親と交流があった。張夫妻の結婚式にも参列していたという。その鄭書記は、張さんが出稼ぎで他の都市に行っている間に妻に言い寄ったようだ。鄭書記は、妻に鎮政府の仕事に就かせていたという。

「相手は書記で鎮のトップなので、身元を引き受けるというやり方で、妻を政府のあらゆる部門の仕事につけることができたのです」
「31歳の家庭の主婦を手に入れることができたのは、地位と権力を使って、面倒を見てあげることができたからだ。書記は車で出迎えもして誘惑していた」

張さんは、妻と鄭書記との不倫をネット上で暴露。これを受けて調査をした内江市の紀律検査委員会は、鄭書記と張さんの妻との不適切な関係を認め、鄭書記に対し職務解任と党内観察2年という処分を下した。

私は張さんの訴えを確かめるため、鎮政府を訪ねてみた。すると確かに事務所の一室には張さんの妻のネームプレートがあった。職員によれば、妻はもう出勤していないという。

内江市の紀律検査委員会
内江市の紀律検査委員会

張さんが残していた鄭元書記の携帯電話に電話をかけてみた。すると鄭元書記本人が電話に出た。北京からきたジャーナリストだと伝えると、息を飲むのが電話口に分かった。一瞬の間の後、鄭元書記は「紀律検査委員会に聞いて」とだけ言い、電話を切ってしまった。
妻と子供を奪われた形になった張さんは、紀律検査委員会の処分が軽すぎると怒りの声を上げる。
「いったい何を観察するというのか。人の家庭を壊しても、党内の観察処分だけで済むのだと、わざわざ世間に知らせるためなのか」

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