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橋下政治資金の不可解(1) 8割強がパーティー券あっせん

◆NGOが3年分を分析 購入者の大半が不明 
(アジアプレス編集部)
「日本維新の会」の共同代表にして大阪市長の橋下徹氏。企業献金や団体献金の拒否を主張し続けるなど、政治資金にきれいなイメージがもたれているが、「橋下徹後援会」の政治資金収支報告書には、他の政治家にはほとんど見られない記載がある。「パーティー券のあっせん」だ。その総額が、2008年から2010年までの3年間で4926万円余りに上ることをNGO「政治資金オンブズマン」が指摘した。

橋下徹大阪市長
橋下徹後援会は3年間で、パーティ券あっせんによって5000万円弱を集めていた。(撮影 粟野仁雄)

2008年とは、橋下氏が大阪府知事として政治家デビューを果たした年である。後援会の3年間の収入は、寄付とパーティー券収入を合わせて5965万円余り。その8割強があっせんによる収入ということになる。
パーティー券を購入してもらうという行為は、政治家の資金集めとして広く行われている。支援者はパーティー券を購入することで政治家を資金的に支える。その際、政治資金収支報告書には、後援会の収入の項目として通常その購入者の名前が記載される。20万円を超えるパーティー券の購入者は法律で記載が義務付けられているからだ。
ところが、橋下氏の政治資金収支報告書には、パーティー券の購入者は数えるほどしか記載がなかった。かわりに記載が多いのが、パーティー券のあっせん者だった。あっせん者は、その人物が購入者にかわってパーティー券の代金を入金することになる。その金額には上限がない。
このあっせんという行為は法律で認められたものだ。橋下氏の政治資金収支報告書の場合、あっせんが収入のほとんどを占めているため、パーティー券を誰が購入したか記載がない。つまり、実際にパーティー券を購入して橋下氏を資金的に支えたのが誰なのか、何もわからないのだ。
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橋下市長の政治金収支報告書。(写真をクリックすると拡大されます)

  ※ 詳細資料 (PDFファイル)
     「橋下徹後援会の政治金収支報告書」 2008年度分
     「橋下徹後援会の政治金収支報告書」 2009年度分
     「橋下徹後援会の政治金収支報告書」 2010年度分
◆「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之・神戸学院大学教授のコメント
「政治資金規正法の抜け穴を使った手法ではないか。これまでいろいろな政治家の政治資金収支報告書を調べてきたが、このように高額なパーティー券あっせんは極めて稀で、あまり見たことが無い。
政治資金収支報告の制度は、金額の上限内で、パーティー券の購入や寄付が認められ、パーティー券購入者、寄付者の氏名等が記載されることで、政治資金の透明性を確保するものだ。しかし、あっせんには上限の定めがないため、あっせんした者が数千万円のパーティー券代を集めて政治団体に提供できることになっている。
だが、普通、高額なあっせんは簡単にできるものではない。本当にこのような高額なあっせんが行われたのか疑念が生じる。また、20万円を超えるパーティー券購入者の氏名等は収支報告に記載されなければならないが、それがあっせんによるものなのか橋下徹後援会が直接販売したものなのかも不明だ。責任者は誰にパーティ券をあっせんしたのか、その実態について詳しく説明すべきだ」

【解説】
◆パーティー券の「あっせん」とは?

政治団体が直接パーティー券を販売するのではなく、その政治団体に代わってパーティー券を販売する者が、その販売で集めたカネをその政治団体に提供することを言う(法第10条第3項)。簡単に言えば「パーティー券販売の仲介者」ということになる。
◆パーティー券の「あっせん」をするメリットは?
政治資金規正法によると、寄附やパーティー券購入には150万円の金額の制限(上限)があるが、「あっせん」には、金額の上限を定める規定はない。超高額のパーティー券「あっせん」者は、政治団体とその政治家に対して「多大な恩を売る」ことができるとも考えられる。
(上脇博之・神戸学院大学教授)
※政治資金オンブズマン
弁護士や研究者で作る政治家の政治資金を監視するNGO。上脇博之教授(神戸学院大学)と阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)が共同代表を務める。これまでに数多くの政治家の政治資金などについて調べ、悪質なものについては刑事告発を行うなどしてきた。2012年3月には安倍元官房長官の官房機密費の情報公開請求をして一部開示命令の判決を勝ち取っている。この11月22日に河村元官房長官の2.5億円の情報公開判決が予定されている。

次回は、このあっせんの不可解な構図に焦点をあてる。
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