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福島第一事故の被害規模は本当にチェルノブイリ事故の7分の1なのか?(下)

誰にもわからない危険度

ここで気になるのは、係数が「0」だからと言って無視してよいのかという点だ。事故直後から放射性物質の放出量を調べている京都大学大学院総合生存学館の山敷庸亮(やましき きょうすけ)准教授は次の様に話す。

「放射性希ガスを0にしているのは、他の元素と化合しないから実質的に無視して良いとIAEAが判断したからで、根拠がないわけではない。しかし一方で、寿命が短く短期間に強い放射線を出す放射性希ガスはそのまま吸いこむと肺がんを誘発すると指摘する専門家もいる。今回の事故での放出量は原発事故史上最高であり、これを完全にゼロ評価し続けて良いのだろうか。」。

撮影日:2013年5月17日  撮影:帯刀良
撮影日:2013年5月17日  撮影:帯刀良

山敷准教授は1979年に米国で起きたスリーマイル島原発事故のエピソードを挙げる。

「スリーマイル島原発の事故の時、原子炉から93ペタベクレルのキセノン133と2.1ペタベクレルのクリプトン85が放出されたと推計されるが、同事故においてヨウ素131、セシウム137はあまり放出されなかったとされる。事故により、被爆線量の相対的に高い風下側の地域の住民の発がん率が高くなり、相対被曝線量との有意な関係が見いだせたとする論文が発表され、発生量から放射性希ガスの発ガンへの関与が疑われる。

【外部リンク】スリーマイル原発周辺のガン発生率の再評価

もちろん同じデータを用いて、全く関連性を見いだせないとする論文も存在する。

【外部リンク】スリーマイル原発周辺のがん
この論点に関してはっきりした結論が出ていない以上、放射性希ガスを無害だと決めつけるのは危険なのではないだろうか」。


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